Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうでん

香奠

豊島 与志雄

Lesen Sie 香奠 (こうでん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.989 Zeichen · 46 Bildschirme

Aozora Bunko

いえ隣近所ばかりではなく、村全体の人達が、ひいては隣村の人達までが、互に親しい結合をつくっています。けれど東京では、住居の移転が激しかったり、生活が種々雑多であったりするために、隣同士でも全く無関係な他人であることが多いのです。私は今の家に住んでからもう四年になりますが、隣家の主人の顔を見たことはほんの数えるだけしかありません。隣家の人がどういう仕事をしていてどういう暮し方をしているか、そんなことについては何一つ詳しく知る所もありません。大抵みな借家住居ですし、どこからやって来た人か分らないし、またいつどこへ引越してゆくか分らないし、云わば、偶然近くにかりの住居をしているに過ぎないのです。そんなわけで、隣近所の誼などというものは殆んどありません。それが便利でもあればまた淋しくもあります。そして、地方から出て来て長年東京に住んでる者は、そういう対人関係にいつしか染んでしまって、ひいては、故郷の人達に対してもさほど親しみを感ぜられなくなります。『田舎の人は小豆一升持って来て、十日も二十日も泊り込んでゆく、』という言葉があります。これは、近隣に対する感情が、東京と田舎とは全く違ってることを示すものです。