Japanische Klassiker mit Furigana
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うまのあし
馬の脚
Lesen Sie 馬の脚 (うまのあし) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.968 Zeichen · 23 Bildschirme
「あなた、あなた、どうしてそんなに震えていらっしゃるんです?」
「何でもない。何でもないよ。」
「だってこんなに汗をかいて、――この夏は内地へ帰りましょうよ。ねえ、あなた、久しぶりに内地へ帰りましょうよ。」
「うん、内地へ帰ることにしよう。内地へ帰って暮らすことにしよう。」
五分、十分、二十分、――時はこう言う二人の上に遅い歩みを運んで行った。常子は「順天時報」の記者にこの時の彼女の心もちはちょうど鎖に繋がれた囚人のようだったと話している。が、かれこれ三十分の後、畢に鎖の断たれる時は来た。もっともそれは常子の所謂鎖の断たれる時ではない。半三郎を家庭へ縛りつけた人間の鎖の断たれる時である。濁った朱の色を透かせた窓は流れ風にでも煽られたのか、突然がたがたと鳴り渡った。と同時に半三郎は何か大声を出すが早いか、三尺ばかり宙へ飛び上った。常子はその時細引のばらりと切れるのを見たそうである。半三郎は、――これは常子の話ではない。彼女は夫の飛び上るのを見たぎり、長椅子の上に失神してしまった。しかし社宅の支那人のボオイはこう同じ記者に話している。――半三郎は何かに追われるように社宅の玄関へ躍り出た。