Japanische Klassiker mit Furigana
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がいこつのくろんぼ
骸骨の黒穂
夢野 久作
Lesen Sie 骸骨の黒穂 (がいこつのくろんぼ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.160 Zeichen · 28 Bildschirme
その態度が乞食でもなく、酒買いでもないらしいので、上り口に居た若い男が取合ってみると、それは仏の甥と名乗る男で、叔父の藤六が死んだばかりと聞くと、上り框に獅噛み付いて、手も力もなくグシグシと泣出したお蔭で、一座がシンとしてしまった。皆、どう処置していいか、わからなくなったのであった。
そのうちに誰かが気を利かして警察へ知らせたらしく、暫く経つと巡査が一人来て取調べる事になった。……その様子を聞いてみると、その男の名前は銀次といって今年三十二歳であった。元来四国の者で、仏様……藤六の兄の藤十郎から十七の年に、勘当された放蕩者の一人息子で、中国筋を流れ流れて大阪へ着いた二十五の年に、初めて放蕩の夢から醒めたという。それから人足、手伝い、仲仕の類を稼いで、あらん限りの苦労をした揚句、鉋飴売りの商売を覚えて、足高盥を荷ぎ荷ぎ故郷へ帰って来たが、帰って来てみると故郷は皆死絶えたり零落してしまったりしてアトカタもない。初めて今までの親不孝が身に沁みてわかった銀次は、そこでタッタ一人の叔父の藤六が、九州の直方で酒屋をやっているという話を風のタヨリに聞いたので、そのまま門司まで便船で来て、やっとここまで辿り付いたところで御座います……と云って又泣いた。