Japanische Klassiker mit Furigana
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たかちほにおもう
高千穂に思う
豊島 与志雄
Lesen Sie 高千穂に思う (たかちほにおもう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.292 Zeichen · 11 Bildschirme
この山道の感銘には、俗塵を脱した清浄さ以上のものがあり、深い奥行がある。
東京の街路の中のロータリー、芝草と数株の灌木との僅かな緑地、あの中に、ひらひらと飛んでいる一匹の蝶は、人の微笑を誘う。この種のものを、東京の都市は、各処に数多く持っている。官庁街と事務所街と殷賑街とを除いて、東京が一種の村落都市と云われる所以である。そして近来、村落都市の厚生上及び軍事上の価値が、改めて認識され始めた。然しその東京に於て、上野の山の杉の古木は年々枯死してゆくし、代表的名園たる後楽園の樹木は、保育保存に多くの苦心を要するとかいう。
これに比ぶれば、城山を持つ鹿児島市の幸福が偲ばれる。域山は史跡として名高いばかりでなく、またその天然林によって特殊である。数百種の樹木、その中には珍種も多く、豊富な種類の歯朶を含む。この天然林に蔽われた城山が、都市の裏手を限って聳えている。
人間と自然との関係は、もはや往時のそれではなく、自然そのものはもはや存在せず、ただ自然の風景が存するのみだと、そう説かれる。それは真実であればあるほど、吾々は自然に対する一種の郷愁を感ずる。地上の巣に対する空飛ぶ鳥の郷愁だ。