Japanische Klassiker mit Furigana
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たかちほにおもう
高千穂に思う
豊島 与志雄
Lesen Sie 高千穂に思う (たかちほにおもう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.292 Zeichen · 11 Bildschirme
払暁、東天が白んだばかりで日光はまだささない頃、火口を覗きこめば、赤熱した熔岩のわきたつのが見られる。
それに比ぶれば、この御鉢火口は、なんとつつましく明るく、そしてあらわに自身を白日に曝してることか。だが、余りにあらわなものは、噴火口の如く熱火を内蔵する種類のものにあっては、凝視の上に象徴的な変容をする。内に恃むところある者の微笑がそこに見られる。
眼を転ずれば、火口より右方に、鹿児島湾から桜島まで、一望のうちに見える。御鉢火口を顧み、更にまた桜島を眺めて、その噴火口に私は思いを馳せる。桜島の頂は雲に隠されているが、その雲には噴煙が交っているのだ。
ただ悲しい哉、桜島は大正三年の大噴火の折、熔岩のため、大隅の方の海岸と陸続きになってしまった。あの美しい桜島、一日に七度も色が変るという桜島は、永久に島であれかしと願うのは、私の幼稚な童心の故であろうか。
東海の小島が磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたわむる
そう石川啄木は歌った。その情緒はもはや過去のものとなった。その代りに、島の情熱が蘇生してきたのだ。この情熱は、あらゆる感傷を排して、ただ生成の悦びに酔う。