Japanische Klassiker mit Furigana
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たかしまいし
高島異誌
国枝 史郎
Lesen Sie 高島異誌 (たかしまいし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.007 Zeichen · 26 Bildschirme
すると、忽どこからとも無く、
「純八殿、純八殿」と呼ぶ者がある。
「何人でござる?」
と怪しみ乍ら、純八は四辺を見廻わした。人の居るような気配も無い。で復彼は歩き出した。と復同じ声がして、
「純八殿、純八殿」と呼び掛ける。夫れはどうやら梅の古木の洞穴の中から来るようである。
彼は不思議に思い乍ら、洞穴の方へ近寄って行った。そして其前に立ち乍ら、
「何人でござるな? 呼びなされたは?」
斯う云って声を掛けて見た。すると、其時、見覚えのある、例の老僧が洞穴の中から、ヒョイと半身を現したが、
「愚老でござるよ。お忘れかな?」
「や、これはあの時のご僧※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
「いかがでござるな、ご気嫌は?」僧はニヤリと笑い乍ら「どうやらお変りも無いようじゃの?」
「爾来、平穏無事でござる」
「それは何より結構じゃ。……どうじゃな、拙宅へ参られては?」
「ご庵室は何処にござりますな?」
「此洞穴の根方にござるよ。どうじゃな直ぐに参られては?」
「珍らしい事でもござりますかな?」
「其方の妻子にお引合せ致そう」
「え?」と純八は思わず叫び、一足僧の方へ近寄ったが、「ナニ、笹千代と吉丸とが、尚生きて居ると仰せられますか?」