Japanische Klassiker mit Furigana
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たかはまきょしちょ『けいとう』じょ
高浜虚子著『鶏頭』序
Lesen Sie 高浜虚子著『鶏頭』序 (たかはまきょしちょ『けいとう』じょ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.746 Zeichen · 14 Bildschirme
所謂二種の小説とは、余裕のある小説と、余裕のない小説である。ただ是丈では殆んど要領を得ない。のみならず言句にまつわると褒貶の意を寓してあるかの様にも聞える。かたがた説明の要がある。
余裕のある小説と云うのは、名の示す如く逼らない小説である。「非常」と云う字を避けた小説である。不断着の小説である。此間中流行った言葉を拝借すると、ある人の所謂触れるとか触れぬとか云ううちで、触れない小説である。無論触れるとか触れないとか云う字が曖昧であって、しかも余は世間の人の用いる通り好加減な意味で用いて居るのだから、此字に対して明かな責任は持たない積りである。只ある人々の唱える意味に於て触れない小説と云ったら一番はや分りがするだろうと思って、曖昧ながらわざわざ此字面を拝借したのである。と云うものは、まず字の定義は御互の間に黙契があるとして、ある人々は触れなければ小説にならないと考えて居る。だから余はとくに触れない小説と云う一種の範囲を拵らえて、触れない小説も亦、触れた小説と同じく存在の権利があるのみならず、同等の成功を収め得るものだと主張するのである。
触れない小説の意味をもう少し説明しないと余の所存が貫徹しまいと思う。