Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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げかしつ

高野聖

泉 鏡花

Lesen Sie 高野聖 (げかしつ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.264 Zeichen · 104 Bildschirme

Aozora Bunko

「いったいどうしたんでしょう」

「まず乗せ逃げとでもいうんでしょう」

「へえ、なんでございます」

「客の逃げたのが乗り逃げ。御者のほうで逃げたのだから乗せ逃げでしょう」

例の老夫は頭を悼り悼り呟けり。

「いや洒落どころか。こりゃ、まあどうしてくれるつもりだ」

不審の眉を攅めたる前の世話人は、腕を拱きつつ座中をして、

「皆さん、なんと思し召す? こりゃ尋常事じゃありませんぜ。ばかを見たのはわれわれですよ。全く駈け落ちですな。どうもあの女がさ、尋常の鼠じゃあんめえと睨んでおきましたが、こりゃあまさにそうだった。しかしいい女だ」

「私は急ぎの用を抱えている身だから、こうして安閑としてはいられない。なんとこの小僧に頼んで、一匹の馬で遣ってもらおうじゃございませんか。ばかばかしい、銭を出して、あの醜態を見せられて、置き去りを吃うやつもないものだ」

「全くそうでごさいますよ。ほんとに巫山戯た真似をする野郎だ。小僧早く遣ってくんな」

奴は途方に暮れて、曩より車の前後に出没したりしが、

「どうもおきのどく様です」

「おきのどく様は知れてらあ。いつまでこうしておくんだ。早く遣ってくれ、遣ってくれ!」