Japanische Klassiker mit Furigana
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きちくのことば
鬼畜の言葉
宮本 百合子
Lesen Sie 鬼畜の言葉 (きちくのことば) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.082 Zeichen · 5 Bildschirme
メーデーからはじまって、五月は国民一般の祝日の多い月だった。憲法記念祭、子供の日、母の日。どれをとっても、それぞれに新しい日本に生きるよろこびとはげましと慰藉とを意味しないものはなかった。そしてそれらすべての心がめざすところは、世界の平和であった。四月末の、政府のきめた婦人週間にしろ、ことしは、はっきりと百数十万の日本の未亡人の問題がとりあげられた。そして、ここにも希望されたのは平和であり、生きてゆく人の命の尊さとその運命に対するまじめな相互責任についての考え直しであった。子供の日にちなんで、五月二日の朝日新聞「天声人語」に「ケティを救え」の物語がのっていた。四月八日の午後、カリフォルニア州サン・マリノ町であき地に遊んでいたケティという三つの女の児が、草むらにかくれていた古井戸へおっこちた。サン・マリノのその古井戸は、日本の古井戸のようにはしごで人がなかへ降りてゆくことはできなかったとみえて、三十六メートルの底におちたケティのために、新鮮な空気をおくりながら、古井戸に沿って三日間タテ穴をほりつづけた。人々がやっとケティのところに行けたとき、幼いケティは死んでいた。