Japanische Klassiker mit Furigana
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まぞう
魔像
林 不忘
Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme
急の動作で、手近の燭火が着衣の風に煽られたのだ。その、白っぽい光線の沈む座敷……耳をすますと、深沈たる夜の歩調のほか、何の物音もしない。
が、生き物には、生きものの気配というものがある。それが今、締め切った障子の向う側から、突き刺すように玄蕃には感じられるのだ。その縁の障子から眼を離さずに、かれは、ソロリ、ソロリと床の間のほうへ、後ずさりし出した。
二
九段の中坂近く。
堀留の横町からもちの木坂へ差し掛る角屋敷は、西丸御書院番、二千石の知行をとるお旗本、大迫玄蕃の住居である。
この玄蕃。
青年の多い番士部屋にあって、四十の声を聞ている位だから、事務的才能はなかったに相違ない。陰で同役が万年平番士の玄蕃殿と悪口をたたいた。が、その万年平番士の大迫玄蕃、天二物を与えずのたとえの通り、今だってそうだ、スポーツに凝って野球やラクビイの選手か何かで筋骨隆々としてるやつに、あんまり秀才はない。と同時に、秀才はどうも蒼い顔をして、大風の日、表を歩くと空へ舞い上っちまうほど、ナニ、そんなのもあるまいが、とにかく、痩せてヒョロヒョロしてるのが多いようだ。