Japanische Klassiker mit Furigana
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まぞう
魔像
林 不忘
Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme
山城守としては、近江之介に眼をかけているので、この婚儀にはあまり進まない様子だったが、先に立って反対すべきことでもないから、伊豆伍に頼まれるまま、部下の御家人で那見市右衛門という老人を仮親に立て、名を園絵と改めさせて、牛込築土八幡に近い神尾方へ送り込んだのだった。
旧臘のことである。まだ十日とは経っていない。恋に敗れた近江之介が、新家庭の歓楽に浸り切っているであろう、喬之助を、事ごとに役所で苛めるのに不思議はなかった。また、上役に媚びる番士一同が、それといっしょになって新参の喬之助を嘲笑するのも、自然であり、決して珍しいことではない。が、この元日の場合だけは、些と度が過ぎたようだ。
五
すこししつこかった。
新手の浅香慶之助が前へ出て来て、いきなり、まだ顔を上げずに畳に両手を突いている喬之助を、下から覗くようにした。
「お眼覚めかな。戸部氏もあの通り殊のほかお腹立ちの模様だから、ちょっと謝りなさい。あやまって改めてわれら一同へ年賀の礼をなされたがよかろう」
喬之助は、ほんとに眠ってでもいるように、黙りこくったまま、身動きもしない。やはり平伏したまんまなのである。