Japanische Klassiker mit Furigana
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まぞう
魔像
林 不忘
Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme
「困難か」
「へえ」
「然らば、そなたのほうで逃げろ。先方を逃がすのではない。殺してはならぬ。殺されても耐らぬから、そちのほうで逃げるのじゃ」
「はッ。なるほど」
「わかったか。わかったな。次第によっては、わしは又何度、富士見の馬場へ試乗に参ってもよいぞ。あっはっはっは」
パチリと一つ、碁石を置きながら、
「それだけじゃ。帰れ」
忠相が、言った。金山寺屋音松は、忠相の真意を覚り、人間忠相に触れたような気がして、もし相手がお奉行様でなければ、音松は起って行って、
「やい、話せるぞ」と、力いっぱい背中を叩きながら大声に笑いたかった。「おめえもやっぱり、弱いほう、理のある方へ味方しようてえのかい。江戸っ子だ。嬉しい江戸っ子だ……」
が、現実にはかれは、何気なく言っていた。
「殺さねえように捕まえる。それで、相手が刃物を持っていると、こっちも刃物で抗って行かにゃならねえ」と、考え考え首を捻って、「すると、むこうも危えし、こっちもあぶねえから、そこで、逃げるように……フウム、ところで、先様アいつも人斬庖丁を離したこたあねえのだから、いつも逃げ――」
金山寺屋は、ぴったり平れ伏した。