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Japanische Klassiker mit Furigana

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まぞう

魔像

林 不忘

Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme

Aozora Bunko

茶の間のほうはひっそりしている。

出て行った気配もないが――思い切って、開けて躍り出ようとして、壁辰は手を引っこめた。待てよ!――と思うのである。

待てよ! 日もあろうに元日に、たといどんな理由があったにしろ、殿中である、その殿中で、ああ鮮かに上役の首を刎ね、そいつを窓から抛り込んで、自分は今日まで雲隠れしていた程の豪の者である。虫も殺さねえような、あんな面をしているが、いざとなったらどんなに暴れて、そのうえ、物の見事にずらかるかも知れねえのだ。おれだって、十手をさばかせては、腕に覚えのねえこともねえが、若しヒョッとして器用に逃げられでもしようもんなら、この黒門町の名折れになる。これあ下手に、この台所の戸を開けて出るわけにはいかねえぞ!――と考えたから、尚もかれは、じイと耳を凝らして茶の間の様子を窺うと――。

やっぱり、人の気もないように、森閑としずまり返っている。

喬之助は、何をしているか!

かれは、どういう気でこの壁辰へ舞い込んで来たのか――それはとにかく、こう見破られてしまっては、止むを得ない。壁辰のおやじを叩き斬って、もう一度どこかに身を隠すまでだ。