Japanische Klassiker mit Furigana
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さかなのじょぶん
魚の序文
林 芙美子
Lesen Sie 魚の序文 (さかなのじょぶん) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.384 Zeichen · 21 Bildschirme
――僕はもう職業を求めるために街へ出たり、履歴書など書く事は徒労だと思い始めた。僕が頭を下げて行った先々の人間達は、いわゆるフォイエルバッハの大邸宅と名づけられるような、中では茅屋にある場合と違った考えを人達はしているものだ、で、全くもってムザンでありすぎる。――朝眼覚めて口を洗い、ゴロリと横になって、人を焼く煙を眺めている僕のかたわらに、おぼつかない手付でもって縫いものをしている彼女がいる。髪の毛には網のように白い埃が溜っていて、それを眼にした僕の口の中には、何か火の玉をくくんだように切ないものがあった。
彼女はきっと「私、いい縫物屋を知っていますから頼んであげましょう」とでも云って、この着物の仕事を森本ちぬ子から取って来たのに違いない。
「ねえ、この間平井さんの奥さんに会ったら、早くちぬ子さんに着物を返した方がいいわ、縫物屋へ持って行くッて云って、菊さんは質屋へ置いてしまって、とても困ってるッて云いふらしてるのよ、なんて教えて下すッたんだけど、まさか、こんな洗いした着物五拾銭も借さないでしょうのに、私とても淋しくなってしまった」
僕は沈黙っていた。