Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

さかなのえさ

魚の餌

梅崎 春生

Lesen Sie 魚の餌 (さかなのえさ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.827 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

兄の方は、よりそってきた弟をかばうように、身体を動かして構えた。その兄の眼付きは、僕をたじろがせるほど烈しかった。

「餌をやろうか。え?」

さり気なく言ったつもりだが、あるいは兄弟はその語調のうちに、なにか底意を感じたのかも知れない。

「餌がないのだろう。いらないのか」

子供の傍の餌箱は空で、底には小量の泥がかさかさに乾いている。兄は警戒の色をますます深め、じっと僕をにらんでいる。にらむとこの子はやや眇目になるのだ。弟の方の顔はしだいにくずれて、今にも泣き出しそうな顔になった。しかし泣き出しはしなかった。眼をキラキラさせて、脣を噛みしめている。僕はしだいに自分のこんなバカな思い付きを後悔し始めていた。しかしこのままではひっこみがつかない。僕は少しいらだって来た。

「餌、欲しくないのか」

笑って見せようとしたが、笑い顔にならなかったかも知れない。僕は餌箱を眼の前につき出そうとした。その時突然、兄の方がいやにはっきりと答えた。

「いらん!」

そうか、と僕は言い、しかし俺はもう帰るし、どうせ餌は捨てるんだから、要るのなら置いてゆくよ、とまだ言い終らないうちに、