Japanische Klassiker mit Furigana
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うおがし
魚河岸
Lesen Sie 魚河岸 (うおがし) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.120 Zeichen · 5 Bildschirme
保吉はまた電燈の明るいのがこう云う場所だけに難有かった。露柴も、――露柴は土地っ子だから、何も珍らしくはないらしかった。が、鳥打帽を阿弥陀にしたまま、如丹と献酬を重ねては、不相変快活にしゃべっていた。
するとその最中に、中折帽をかぶった客が一人、ぬっと暖簾をくぐって来た。客は外套の毛皮の襟に肥った頬を埋めながら、見ると云うよりは、睨むように、狭い店の中へ眼をやった。それから一言の挨拶もせず、如丹と若い衆との間の席へ、大きい体を割りこませた。保吉はライスカレエを掬いながら、嫌な奴だなと思っていた。これが泉鏡花の小説だと、任侠欣ぶべき芸者か何かに、退治られる奴だがと思っていた。しかしまた現代の日本橋は、とうてい鏡花の小説のように、動きっこはないとも思っていた。
客は註文を通した後、横柄に煙草をふかし始めた。その姿は見れば見るほど、敵役の寸法に嵌っていた。脂ぎった赭ら顔は勿論、大島の羽織、認めになる指環、――ことごとく型を出でなかった。保吉はいよいよ中てられたから、この客の存在を忘れたさに、隣にいる露柴へ話しかけた。が、露柴はうんとか、ええとか、好い加減な返事しかしてくれなかった。