Japanische Klassiker mit Furigana
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すし
鮨
岡本 かの子
Lesen Sie 鮨 (すし) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.272 Zeichen · 26 Bildschirme
鮨を器用につまんで喰べて行く男もある。
常連で、この界隈に住んでいる暇のある連中は散髪のついでに寄って行くし、遠くからこの附近へ用足しのあるものは、その用の前後に寄る。季節によって違うが、日が長くなると午後の四時頃から灯がつく頃が一ばん落合って立て込んだ。
めいめい、好み好みの場所に席を取って、鮨種子で融通して呉れるさしみや、酢のもので酒を飲むものもあるし、すぐ鮨に取りかかるものもある。
ともよの父親である鮨屋の亭主は、ときには仕事場から土間へ降りて来て、黒みがかった押鮨を盛った皿を常連のまん中のテーブルに置く。
「何だ、何だ」
好奇の顔が四方から覗き込む。
「まあ、やってご覧、あたしの寝酒の肴さ」
亭主は客に友達のような口をきく。
「こはだにしちゃ味が濃いし――」
ひとつ撮んだのがいう。
「鯵かしらん」
すると、畳敷の方の柱の根に横坐りにして見ていた内儀さん――ともよの母親――が、は は は は と太り肉を揺って「みんなおとッつあんに一ぱい喰った」と笑った。
それは塩さんまを使った押鮨で、おからを使って程よく塩と脂を抜いて、押鮨にしたのであった。
「おとっさん狡いぜ、ひとりでこっそりこんな旨いものを拵えて食うなんて――」