Japanische Klassiker mit Furigana
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にしんぎょじょう
鰊漁場
島木 健作
Lesen Sie 鰊漁場 (にしんぎょじょう) von 島木 健作 (しまきけんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.483 Zeichen · 49 Bildschirme
六
やはり山本の発案で、旦那に逢って談じこむ交渉委員が世話役の名で六人えらばれた。山本はもちろんそのなかにはいった。仲間たちの歓声におくられて六人は時をうつさず旦那の家へ出かけて行った。ほかに五六人が浜べへ向ってふっ飛んだ。鰊割きの出面を牽制するためにである。
残った漁夫たちは大はしゃぎだった。長々と手足をのばして寝そべりながら宿舎に籠城した。「前祝いだ、菜ッ葉ばしでなく晩にゃ少しはうめえものもくわせろよ。」と炊事夫に向って言ったりした。いち早くさわぎを聞きつけてかけつけて来た帳場は、うろうろして宿舎と旦那の家の間を行ったり来たりしていたが、やがてどこえか姿を消した。船頭はそのあいだじゅう、どっちへもつかれないといった顔つきでやはりうろうろしているばかりであった。
六
漁場主である大丸の旦那は、奥まった部屋の床の間を脊にして、畳二枚をうずめるようなひぐまの皮の敷物の上にどっかと坐っていた。血肥りにふとった真赤なまる顔の、禿げあがった額からこめかみにかけて太い癇癪筋が芋虫のようにぴくぴくと動き、火鉢にかざした手はアルコオル中毒のためとのみはいえない痙攣を見せていた。