Japanische Klassiker mit Furigana
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にしんぎょじょう
鰊漁場
島木 健作
Lesen Sie 鰊漁場 (にしんぎょじょう) von 島木 健作 (しまきけんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.483 Zeichen · 49 Bildschirme
「馬鹿野郎!」
彼はわれるような大声で大喝した。彼の目の前には畳一枚をへだてて帳場が頭をうなだれてかしこまっているのだ。
「どじ踏みやがって間抜けめ! それで漁場の監督だなんぞと大きな面アできるか。余計なことをとんでもねえ時に感づかれやがって、奴らがさわぐなアあたりめえじゃねえか。」
なんと口ぎたなくののしられても仕方がなかった。ふとした口のすべりから、今年は九一金を出すまいとのこっちの肚を漁夫たちに覚られてしまったということは、臍を噛んでも及ばない不覚だった。腮別れの時にはじめてそれと知れるぶんには、なんと奴らが騒ごうと平気だ。しかし、今騒がれては……。帳場はじっと唇を噛んでだまる外はなかった。
「それで奴らアなんだっていうんだ!」
「へえ、」
「へえじゃねえ。はきはきしろい。」
「一人頭、五十円の九一が出なけりゃ仕事をしねえといっとりますので……。」
「なんだと!」
この時表玄関には、さっき旦那への面会を願って拒絶された山本ら六名の漁夫の代表が頑ばっていた。旦那がなんとしても逢おうとはいわなかったとき、こんなことにはじめての彼らのなかには、途方にくれていち早くくじけた顔つきを見せるものがいた。