Japanische Klassiker mit Furigana
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とり
鳥
横光 利一
Lesen Sie 鳥 (とり) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.228 Zeichen · 30 Bildschirme
いくら嘘をいったって駄目だといって私から放れない。私は――私はそこで今迄惨憺たる姿をして漸く崖の上まで這い上った私を、再び泥の中へ突き落してしまったのだ。リカ子は私の惨落した姿を見ると急に生き生きと子供のようになり始めた。それは喜ぶときの彼女の癖だ、しかし、それより彼女にひとり置かれたQはこれからどうするだろう。彼女とまた一つの生活を続けていかねばならぬ私こそどうすれば良いのであろう。が、何はともあれ先ずその夜は一度Qの家へ帰り、来たければQにその事をいって更めて来るようにとリカ子をなだめて私達二人は外へ出た。外へ出ると彼女は通りがかりの神社の境内へ這入っていって鈴を振った。その間私はひとり門前に立ったまま宙にぶらりと浮き上っているかのような不安定な自分を感じていた。リカ子は神前から戻って来ると私にそこの神前へいってお辞儀をせよという。私はいやだといった。すると彼女は私のためにお辞儀をして来てくれ、私は長い間迷い続けて漸く本当のあなたの有り難さが分って来たのだからそのためにでも一度だけお辞儀をしてくれるようにという。しかし私はまだ内心彼女への怒りが沈まっていないのにお辞儀も出来ないのだ。