Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme
とうなずいた。で大急ぎに、飛脚包みから出た紙入れをあらためてみると、案のごとく、金はなかったが、一通の手紙が中に潜んでいた。
丈夫な生紙の二重封じ、しかし、その封じ目は破れていた。お綱が読んだものらしい。
――お父上様が阿波へお入り遊ばしてから蔭膳の日も早や十年でござります。柳営では隠密役御法則をふんで、十年御帰府なき父上を死亡と見なし、権現様以来の甲賀家も遂に断絶の日が近づきました――
という意味がこの手紙の書きだしで、流麗な女の手跡が、順に解れゆくに従って、万吉の眼底異様な光を帯びてきた。
――千絵も十九となりました、男でない私は絶家の御下命をどうすることもできません。けれど私は、九ツの時お別れした父上様が、まだ御存命と信じられてなりません。夢にも世をお去り遊ばしたとは思えません。そこで乳母の兄唐草銀五郎が、この手紙を持って、命がけの阿波入りをしてくれます。もし幸いに御無事な上これがお手に入りましたら、甲賀家の断絶も僅かにその命脈を延ばすことができます――
ここまで読みかけると、万吉の胸が処女のように躍った。彼にも足かけ十年臥薪甞胆の事件がある。