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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「お聞き及びの通り。どうやら、この邸内にも、一八郎へ気脈を通じる者がある様子でござりますぞ」

「心得ぬことじゃ。番士!」

「はッ」

「すすめ、もっと近く」

「は」六尺棒を置いて夜番の侍、おそるおそる沓ぬぎの前へきて、蟇のようにつくばった。

「只今の申し条、偽りはあるまいの」

「なんで! 畏れ多うござります」

「では訊くが、しきりに俵一八郎の身に近づこうとする者は、一体、どのような風采、また面貌など、しかと見届けておいたかどうじゃ」

「手抜かりのお咎めある節は、申し開きもござりませぬが、前の夜も今夜も、チラと見た影を追い失いましたばかりで、その辺、残念ながら突き止めておりませぬ」

「そうか……」と阿波守の顔は暗い。三卿の人々も首をひねって聞いていた。

「しかし、ただ一つ瞭かなことがござります」

「フム、それは?」

「曲者はたしかに女であるということ――。これは夜目ながら見受けました」

「なにッ?」

阿波守は眸をキラリとさせて、

「その怪しい奴が女じゃとは、ますます不思議な沙汰、さては、女中どもの中に、一八郎と同腹のやつが住み込んでいるのではないか」

「にわかに申しきれませぬが、前後の様子から推しましても、やはり御邸内にいる者の所為らしく考えまする」