Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme
そして、ギラリと凄い上目を射た。
己の襟がみをつかんでいるのは、二十七、八の小男であった。若い侍のくせに、髪を総髪にして後ろへ垂れ、イヤにもったいぶった風采。ハハア、こいつだな、旅川周馬という男は――と孫兵衛、わざと力も出さずにいる。
丹石流の、据物斬りの達人、お十夜孫兵衛の襟がみをとって、どう料理する気か。
こいつは面白い、一つ、彼の好きに任せておいて、周馬の腕をみてやろうと、お十夜は、おとなしく身を屈ませて様子をみた。
さて、あぶない話になった。
周馬は孫兵衛の襟がみをつかんでいるが、右手が使えず。孫兵衛は、相手に襟を取られているが、右手は早くも助広の柄を握って、胴払い! 横一文字の抜打ちを気構えている。
この竦みあいはあきらかにお十夜の利だ。
旅川周馬なるものが、かりにも剣道に眼があるなら、今は危険な瀬戸際と知るところである。襟がみを離して悪し、引いて悪し、押して悪し、どう行っても変る途端に抜けてくる。胴払いの殺剣をのがれて抜きあわせる工夫はない。
「はッはッはははは」
不意に笑いだしたのは周馬である。
何の気だか分らないが、また、
「はははは……」