Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme
姉ちゃんは、お三輪ちゃん」
「フム。お三輪に乙吉か。いい名だ……そして、どこだい、お前たちの家は?」
「吉原だよ」
「へえ、豪気に粋な所へ住んでいるじゃねえか」
「おじさんも行くかい」
「どこへ」
「吉原さ」
万吉、思わず吹きだしそうになって、
「おじさんは野暮天だから、まだ吉原を見たこともねえのさ。だが、まさかお前たちだって、あの廓の中じゃないだろう」
「ああ、五十間の裏だよ。孔雀長屋という所にいるの」
「そんな所があるのかい」
「見返り柳のすぐ下でね、オハグロ溝が側にあるよ、いつ帰っても、賑やかだから怖かない」
「おっ母さんはいるのかい」
「おっ母アは、死んじゃった」
「おやじさんは」
「生きてるよ」
「じゃアまあ結構だ。なあ、片親だけでもいりゃ、これに越したことはねえ。で、姉弟は二人ッきりかい」
「ううん……大きな姉ちゃんが二人いる」
「それでいて、お前たちまで、角兵衛獅子をして稼ぐのは、ああ、親父さんでも体が悪くって、永患いをしているとみえるな」
「違うの……」姉のほうが、悲しい顔をした。
「じゃ、どうなんだい、一体?」
「父ッちゃんは、ピンピンしているけれど、お酒呑みなんだもの」