Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme
「こばいあん」としるしてある小提灯が、弦之丞の影に添って、ゆらゆらとついてきたかと思うと、
「もし……」と、その男が声をかけた。
「一月寺においでの方は、みんな同じようなお姿なので、間違ったらご免下さいまし」と、念入りに断わっておいて――「あなた様は、もしや私が今手紙を持って、お迎えに参りました法月様ではいらっしゃいませんか」
「いかにも、わしはその弦之丞だが……」
「ああ、それはよい所でご一緒になりました。私はごらんのとおり……」と、提灯の朱文字を少し前へかざして、
「古梅庵の若い者で、旅川様からお手紙をいいつかってきた男でございます」
「そうか。では何分とも案内を頼む」
「エエよろしゅうございますとも、なにしろ、御行の松から御隠殿――あの水鶏橋の辺は、昼でも薄気味のわるい所でございますからな……。夜のお使いは、あんまりゾッとしませんや。それに来る時は一人ぽッちなんで、びくびくものでございましたが、おかげ様で、まず帰りは気強いというものでございます」
「所々に見える灯は、どこかの寮か隠居所だの」
「へえ、お旗本の別荘とか、上野の宮様の別院とか、吉原に大店を持っている人の寮だとか……そんなものばかりでございますから、淋しいわけでございまさ。