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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

うさん臭い古梅庵の男が、先に立って、御隠殿の下まで道案内をしてきたかと思うと、そこで、

「旦那、すみませんが……」

と、弦之丞の手へ提灯を預け、小用をたすふりをして、スッ――と横ッ飛びに身を交わした。

「おう」と、なんの気もなく、明りを手に持った途端に、かれは異様な臭気を知った。

プーンと、闇に漂ってくる臭気! 火縄だ、火縄のいぶるあの臭い!

「あッ――」

と弦之丞が、その提灯を空へ捨てたのが早かったか、轟然とゆすッた鉄砲の音が早かったか? ――ほとんど、けじめのない一瞬。

上野の森の裏山へ、一発の銃声が、ドーンと木魂返しにひびいてきた刹那、はッと眼をこすって見直すと、空に躍った提灯の行方は知れず、それを持っていた弦之丞の影もあらず、ただ、強い火薬の匂いと、白い硝煙とが、玉になってモクリッと闇をかすっていた。

「うまくあたった!」

水鶏橋の袂へ、横ッ飛びに逃げだした男は、こうつぶやいて、枯草の中から、そろそろと亀首をもたげだす。

こいつ、古梅庵の提灯を、どう工面してきたものか、まことは使屋の半次といって、周馬や孫兵衛が、京橋の喜撰風呂にごろついている間に、手馴ずけられたあぶれ者。