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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「はははは、当世女に、そんな心中立は聞かぬところ、まず心配のないことじゃ」

「いいえ!」お米は熱を打ち込んで、赤い吉田団扇をクルリと廻しながら「――私が恋をするとすれば、鳴門はおろか、どんな関でも、きっと渡って見せますわ。ええ! 蛇にでも夜叉にでもなりますとも」

「こりゃ怖ろしい。してその相手は森氏か、天堂氏か、それともかくいう九鬼弥助か」

「ホホホ、どちら様でもございません。もし仮にあったらという話――」

「何のことじゃ」笑い崩れてしまったが、お米は自分の空想を真実にして考えこみ、天堂一角は、床柱に凭れて、じっと、何かに耳を澄ましていたので、二人の声はまじらなかった。

で、はしゃいだほうの者も、笑った後をやや白けて、冷えた盃の縁を舐めていると、すぐ近くから、喨々、水のせせらぎに似た尺八の音階が、一座の耳へ流れてくる――。

「む、いつ聞いても悪くないのう……」さっきから耳心を澄ましていた一角はひとりで呟く。

「あの歌口は宗長流、京都寄竹派の一節切じゃ、吹き手はさだめし虚無僧であろう」

「まあ。本当に虚無僧さん――」と、お米は体を手欄に凭せて、二階から下を覗きながら、