Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme
明日の朝の早立ちとしよう」
「私も、別に休みたい訳じゃないけれど、お父っさんが臨終にまで、アア言い遺して行ったこの紙包みに、何か、深い仔細があるような気がするので、早く開けてみたいと思ってね……」
「ウム。詳しいことは知らないが、俺もそう考えていた。じゃお綱、向うの廻廊がいいだろう。御灯が下がっている」
更けているので参詣の人影もない。
たまたま、人影らしいものがあるかと見れば、宿のない病人や順礼が、大慈の御廂を借りて、菰にくるまッている冷たい寝息……。
淡島堂の池で、キキ……と亀の啼くのも聞えるほど、伽藍の空気は森としていた。
「俺もさっきは、土間の隅で待ちながら、思わず、貰い泣きをしていたが、なんだか、其品は刀だという話じゃないか」
「それが、どうも私にゃ腑に落ちない一ツなのさ……。私の家は小さい時から、今も同じな長屋暮らし、こんな刀がある筈はないのだもの」
「フーム、するとそりゃなんだろう、お前が小さい時に死んだという、お袋さんに由緒のある刀じゃねえかな」
「私も……もしや、そうじゃアないかと思っているんだがね……何か、私とお母さんの……」
二人は、廻廊の隅へしゃがみこんだ。