Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

その荷物は、読本と縦四寸横六寸位の小さな石盤とで、木の枠に石盤拭きが糸で下げてあります。遣いつけたら離されません。学校へ置いて来たらといわれても、いつも往き返りに背負っていました。石筆に堅いのと柔かなのとあって、堅いのを細く削って書くのでした。

学校は大きな料理屋の跡らしく、三囲神社の少し手前でした。立木が繁って、大きな池があり、池には飛石が並んでいました。子供たちが面白がって渡っては、よく落ちたものでした。運動場はかなり広い砂地で、細い道を隔てて田圃でした。その隅に丸太が立っていて、牛島小学校と染めた旗が附けてありました。

冬になりますと、男の子たちは柵から抜出して、田圃の稲株の間に張った厚氷を、石で割って持って来ます。お辞儀をしてそれを分けてもらってはしゃぶりました。よく中らなかったことと思います。

教室の数はかなりあったようです。お兄さんは上の級にいられて、成績はいいがいたずらだといわれていました。今も覚えているのは読方の時間です。先生が一くぎりずつ読まれますと、二、三十人いる男女の生徒が、一緒に続いて読むのですが、妙に節を附けて読む先生の癖をまねて、その賑かなこと、学校の傍を通る人が立止るほどでした。