Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

この店には、小さな吊しランプが二つも下げてありました。売る人はその前に腰を掛けて、煙草を吸っています。立止って動かないのは女ばかりです。

それから地面に直ぐに筵を敷いて、玩具類を盛上げているのもあります。

また面白いのは虫売で、やはり小屋掛けですが、その障子は市松模様に貼ってあり、小さな籠が幾つともなく括りつけてありました。さまざまの虫が声を揃えて鳴いています。野原や庭で鳴いているのは、近くへ寄っても鳴きやめるのに、雑沓の中でよく鳴いていることと思います。その店にはなお、大きな籠に黒絽を張って、絵の具で模様を画いたのに、蛍が一杯這入っていて、その光が附いたり消えたり、瞬きするようで綺麗でした。やはり黒絽で張った小さいのが、まだ幾つも下げてありました。

人の大勢たかっている処は見ないで行きましたが、道の傍の土の上に筵を敷いたのに小さな子を寝かして、傍に親らしいのが坐って、お辞儀をしているのがあります。子供は眠っているのか、じっとしています。「可哀そうね」といいましたら、定は笑って、「子供はどこからか借りて来たのだそうで。肥えた子は安くて、痩せたのが高いといいます。