Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

碁も謡も少しはなさいました。若い頃には碁に凝ったこともあるらしいのですが、或集会で十ばかりの童子でその道の天才といわれるのと打って見ましたら、少ししたらその子が声を立てて笑って、「いやだ、おじさんは。わたしがこう打てばこう、ああ打てばああと考えたのでしょうが、それではだめですよ」といいました。じっと考詰めてしたことに図星を指されて赤面して、もう続ける気持がなくなったそうです。その子は盤を離れると、そこにある菓子を食べたり、相撲を取ったりして、外の子供と少しも変らないのに、その道にかけては怖いものだといわれました。

風采もよく、背丈もあり、同役は著流しが常なのに、好んで小袴をはかれました。頭こそ円けれ、黒羽二重の羽織を長めに著て、小刀を腰にした反身の立姿が立派で、医者坊主などといわれた円頂の徒とは違うのでした。

その円頂のことですが、森の親戚に西という家があります。やはり代々の医者でした。森からそこへ縁附いた人の後に、小字経太郎、寿専というのがあって、幼い時から学問を好んで、就いて学ぶ師が皆驚くほどでした。家蔵の書を残りなく諳じたのです。嘉永元年その二十歳の時に有為の才を認められ、当職が召出して藩主の命を伝えました。