Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
「好い拾得物をなされた」と、人が羨んだといいます。やがて娘に娶せましたが、幾程もなく順吉は藩を脱してしまいました。養父の失望、娘の悲歎はいうまでもありません。どんな事情があったのか知りませんが、「そんなことなら婚礼などしなければよいのに」と、人が噂をしたそうですから、いずれ無情な行動があったのでしょう。その時になって、始めて誰も祖父の目利の違わなかったのを感じました。
順吉は脱藩後仏蘭西語を修め、忽ち上達して、江戸で徒を集めて教えていました。明治初年になって、前に述べた西周氏が洋行から帰って、西三筋町に住われた頃、沼津に軍黌が出来るからとのことでその主務教頭となるように勧められて承諾しました。その時順吉が尋ねて来ることが度々に及びました。新知識に接するためでもあり、森家の親戚という意もあったのでしょうか。ところが西氏の沼津へ立たれる前に来ると約束して置いて、ついに来ませんかった。順吉と同宿していたのが津和野の人で、後に西氏に語りましたのには、或日金沢の士が二、三人尋ねて来て、どこかで酒を酌んだようですが、それきり帰りません。その後見た人がないのですから、きっと殺されたのでしょう。