Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
病気のために断髪するという形式でもあったのでしょうか。
その頃の小学校では日々成績表を附けていて、出来のよいのは丸が貰えるのです。生徒たちは自然丸の数を競うことになります。帰って祖母の顔を見ると、「今日は幾つ」と、きっといわれます。丸の多い日は元気ですが、少い日にはしょげるのです。叱りはなさらなくても、むつかしい顔を見るのがつらいのでした。
森の家では質素な生活を長年の間続けていたのですから、祖母はよく働かれたのでしょう。祖父は思う通りを行って、人の思わくなどは顧みない風でしたから、その周囲の人々との間を円満に執りなすのには骨を折られたそうです。上役の人の家に然るべき来客などのある時には、「お執持に森のおもう様をお願いするといい」といわれたくらいでした。おもう様は方言です。
初めの男の子が夭折して、次に生れたのが母でしたが、小さい時は虚弱でしたので、育てるのに心遣いが多かったのです。それがやっと成人して養子を貰い、間もなく妊娠したので、これからと思った時に祖父が客死せられたので、その時の祖母の歎きは思いやられます。それでも気丈な祖母は崩折れず、養子が優しい性質で励ましてもくれますので、孫の出生をひたすら待ったのでした。