Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
といわれるので、「まさか」といって笑います。
女中たちが早く用事の片附いた夜などに、「御隠居様、お相手をいたしましょう」と、花がるたなどをしますと、始めは喜んでいられますが、あまり負かしては気の毒だと思って斟酌しますと、勘がよいのですからすぐ悟って、「もうおやめにしましょう」といわれるのでした。
追々に残った方の目も見えなくなり、火鉢の傍で泣いていられるのがお気の毒でした。母が心配して私の宅へ来られて、「あんな年寄でも手術が出来るものかしら」と相談されました。主人が早速大学の眼科へ行って、河本氏に尋ねましたら、「健康なら手術は簡単だから」とのお話でしたので、それではと入院となったのです。
手術の済んだ午後に主人が尋ねましたら、何の故障もなかったそうで、安静第一とのことです。それで二、三日過してから私は見舞いました。
「喜んでおくれ。また見えるようになるそうだよ」といわれます。
附添の看護婦は元気のよい人で、「御隠居様は大層経過がおよろしそうですが、どうも繃帯をおいじりになっていけません」といいます。それを聞いて、「うるさくて困るものだから」とおこぼしです。