Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

或時紺飛白の筒袖の著物の縫いかけが、お嫂様のお部屋にあったのを見かけました。於菟さんの不断著を縫って見ようとなすったのです。媒妁をして下すった夫人は社交家で、「森さんは奥さんのお扱いが下手だ」といわれましたが、世馴れた人の目からは、そう見えたのかも知れません。

「森さんはお母さんばかりか、お祖母さんもおありだから、お嫁さんはお骨が折れましょう」という噂を聞いて、いっこくな祖母は腹を立てて、「何も私は急に出て来たのではない。誰も始めから知っているはずだ。長命なので、人様のお邪魔になってはならぬと、小さい体をなお小さくしているのに」と泣かれます。行合せた私が慰めて、「まあまあ誰がそんなことをいったのか知りませんが、気にお懸けなさいますな。あなたは森の大事なお祖母様ですものを。それはお兄様が一番よく知っていらっしゃるから御心配ありませんよ。それよりお祖母様、今日は手製ですけれど、お好きな栗のきんとんのおみやげです。召上って下さい」といいますと、「それではお昼に戴きましょう」と御機嫌をお直しでした。家族が多ければ、それだけ事の多いのも仕方がないのでしょう。