Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

それに黒板に書かれる字がひょろひょろとして、とても読みにくいのを、笑わぬ人はありません。先生には学校が終ってからも長くお附合いしましたが、お手紙も短歌も見事なものでした。白石のものを使われたのは、近世の文章の規範となるものとのお考でしたろう。

兄の歿後、与謝野寛先生のところへおりおり伺うようになった頃、『日本古典全集』が出版になりました。あの赤い表紙はどうかと思いますが、寛先生のお好みのように聞きました。あれは割合に評判がよく、長い間続いて出ましたから、積上げた高さはかなりです。昔の本でしたら、非常な量になりましょう。

戦争のために疎開する時、活字の本を先に出して、木版本を入れた本箱を後にしたのは、なるべく身近に置きたかったからです。お兄様が洋行をなさる時、女学校入学前の私に置土産として下すった『湖月抄』は、近年あまり使わなかったので、桐の本箱一つに工合よく納めてあったのを、そのまま出しました。預け先は親類で、鉄筋コンクリートの大きな蔵でした。衣類家具類なども一緒です。

後に残した荷物は、近辺一帯の疎開命令でしたから、家の前の往来はただ車の行列で、なかなか順が廻って来ません。