Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

お前は何を買っていただいたの。」

そして私の出した包を拡げて見て、「これはこれは、見事なものだね。お雛様のお道具になるね。大事におしよ」とおっしゃいます。

兄様が傍から、「こいつはほんとにしようのない奴だ。遠慮ばかりして、何も入らないというのだもの」といわれます。

「それで写真はどうだったの」と母が聞かれます。

「写しましたけれど、どんなだか。」

幾日か過ぎて届いた手札形の写真は、泣出しそうな顔をしていました。

「どうしてこんな顔をしているのだろう」といわれて、「だって私、ひとりで心細かったの。」

兄はこれを聞いて、「では、己のせいだったかな」と笑っていられました。

その写真が今あったらと、昔がなつかしく忍ばれます。

垂氷

知人が持って来てくれた菖蒲の花を見て、遠い昔向島の屋敷の隅にあった菖蒲畑を思出しました。そこは湿地のためか育ちがよくて、すくすくと伸びますので、御節供の檐に葺くといって、近所の人が貰いに来るのでした。根を抜くと、白い色に赤味を帯びていて、よい香がします。花は白、紫、絞などが咲交っていて綺麗でした。始めに咲いて凋んだのを取集めると、掌に余るほどあります。