Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
寒い朝そこらに佇んでいますと、北国から来た列車の屋根が真白に雪をかぶっています。それを珍しく見ました。私どもの教室へ、まだ洋行前の幸田延子氏が、よく参観に来ていられました。或時遠い教場から美しい声が聞えるので耳を傾けましたが、それは後の柴田環氏なのでした。
車で来る人は、私の外にも二、三人いました。跡は先生です。与吉は前にいったように無口ですが四、五人集まりますと、いつか与吉が親分らしく、外の車夫が手下らしく見えるのが不思議でした。私が帰る時に見ますと、外の車夫はすぐ車を引出しますのに、与吉はのっそり立上って、ゆっくりと来て梶を跨ぐのです。そんな時私は恥しくて、顔を伏せていました。腹の内では、また西洋へ書いて出す手紙の材料が出来たと思いながら。
兄の帰朝
兄が洋行から帰られたのは、明治二十一年九月八日のことでした。家内中が幾年かの間待暮していたのですから、その年も春が過ぎてからは、その噂ばかりしていました。少し前に帰朝された人に、「年寄たちに様子を話して下さい」とお頼みでしたので、その方が訪ねて下すって、親切にいろいろ話して下さいました。日常生活から、部屋の様子、器具の置場などまでして話して下さるので、どんなだろうか、あんなだろうかと想像をも加えて、果がありません。