Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

ところが兄は、同行の上官石黒氏を始め、その外にも連があって、陸軍省から差廻しの馬車ですぐにお役所へ行かれましたので、出迎えは不用になりました。

私は早くから千住の家へ行って待っていました。兄はあちこち廻って帰られたので大分後れましたけれども、どこかで連絡があったと見えて、橘井堂医院の招牌のあるところから曲って見えた時は、大勢に囲まれてお出でした。土地がらでしょう、法被を著た人なども後から大勢附いて来ました。そして揃って今日の悦びをいうのでした。父がその人たちに挨拶をします。気の利いた仲働が、印ばかりの酒を出したようです。家の中では、旧い書生たちまで集って来て悦びをいいます。祖母は気丈な人でしたけれど、お辞儀をしただけで、涙ばかり拭いて、物はいわれませんかった。私はそれを見て、同じように涙が止りませんでした。父はにこにこして煙草を吸われるだけ、盛に話すのは次兄一人です。

やがて私は、家の車で送ってもらって帰りました。その頃小金井は東片町に住んでいました。始めは弓町でしたが、家主が、「明地があるから」といって建ててくれたのです。弓町では二棟借りていました。