Japanische Klassiker mit Furigana
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がこせんにん
鵞湖仙人
国枝 史郎
Lesen Sie 鵞湖仙人 (がこせんにん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.555 Zeichen · 22 Bildschirme
それを見た正雪はブルブルと顫えた。しかし恐怖の顫えでは無く、それは怒りの顫えであった。
「巽から始まった天地人の筋、一つは坤兌の間を走り、一つは乾に向かっている。最下の筋は坎を貫く!」彼はバリバリと歯を噛んだ。
矢庭に抜いた腰の小柄、ブツーリ突いたは板敷の真中! 途端に「痛い!」と云う声がした。
その瞬間に正雪は、もんどり打って投げ出された。
飛び起きた時には其部屋は無く、全く別の部屋があった。
違い棚もあれば床の間もある。床の間には寒椿が活けてある。棚の上には香爐があり、縷々として煙は立っている。襖もあれば畳もある。普通の立派な座敷であった。
床の間を背にして坐っているのは、他でも無い鵞湖仙人、渋面を作って右の掌を、紙でしっかり抑えている。そこから流れるのは血であった。
七
「ひどいことをなさる、由井正雪殿」
老人は相手を怨むように云った。
「お互いでござるよ、鵞湖仙人殿」
正雪は哄然と一笑したが「いかがでござる。傷は深いかな?」
「深くは無いが、ちょっと痛い」
「アッハハハ、お気の毒だな。……手中に握った天罰でござる」
「でも宜く心が付かれたな」