Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
つるはやみき
鶴は病みき
岡本 かの子
Lesen Sie 鶴は病みき (つるはやみき) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.495 Zeichen · 53 Bildschirme
庭続きの芝生の上を、草履で一歩一歩いんぎんに踏み坊ちゃんのような番頭さんのような一人の男を連れて居た。浅いぬれ縁に麻川氏は両手をばさりと置いて叮嚀にお辞儀をした。仕つけの好い子供のようなお辞儀だ。お辞儀のリズムにつれて長髪が颯と額にかかるのを氏は一々掻き上げる。一芸に達した男同志――それにいくらか気持のふくみもあるような――初対面を私は名優の舞台の顔合せを見るように黙って見て居た。
某日。――朝、洗面所で麻川氏に逢う。「僕、昨夜、向日葵の夢を見ました。暁方までずっと見つづけましたよ。」と冷水につけた手で顔をごしごし擦り乍ら氏は私に云う。「それで今朝、頭が痛くありませんか。」私は何故だか氏に、こんなことを聞いて仕舞った。「ほおう。まるでゴッホの問答みたいですな。」麻川氏はこう云って、タオルで顔を拭き終えて私の顔を正面から見た。眼が少し血走って居る。氏は「は、」と一つ声を句切って、「ではまた午後、………昼前は原稿を書きます。」と云って叮嚀にお辞儀をして部屋に入って行った。
午後わあわあと大声を立てる若い女が麻川氏の部屋へ来たようだ。夕方、恰好の好い中背の若い女の洋装姿が麻川氏の部屋から出て庭芝を踏んで帰るのを見かけた。