Japanische Klassiker mit Furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Lesen Sie 鷲 (わし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.476 Zeichen · 290 Bildschirme
今までは不安ながらも一縷の望みをつないでいたのであるが、その縁談がいよいよ破裂と定まって源兵衛夫婦の失望はいうまでもなかった。お杉は一日泣いていた。その夜、髑髏が笑い出すと共に、お杉も家をぬけ出した。そのうしろ姿を見つけて母が追って出る間もなく、若い娘は深い谷底へ飛び込んでしまって、その亡骸を引揚げるすべさえもないのであった。
その以来、木の枝にかかっている髑髏は夜ごとにからからと笑うのである。笑うのではない、乾いた髑髏が山風に煽られて木の枝を打つのであると源兵衛は説明したが、女房は承知しなかった。髑髏が我れわれの不幸を嘲り笑うのであると、かれは一途に信じていた。黒ん坊の髑髏が何かの祟りでもするかのように、土地の人たちも言い囃した。
実際、髑髏はその秋から冬にかけて、さらに来年の春から夏にかけて、夜ごとに怪しい笑い声をつづけていた。それに悩まされて、お兼はおちおち眠られなかった。不眠と不安とが長くつづいて、かれは半気違いのようになってしまったので、源兵衛も内々注意していると、七月の盂蘭盆前、あたかもお杉が一周忌の当日に、かれは激しく狂い出した。