Japanische Klassiker mit Furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Lesen Sie 鷲 (わし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.476 Zeichen · 290 Bildschirme
汽車の中のお話を聞いて、わたしには何だかそう思われてならないのですよ。」
奥さんはまじめに言った。何かの呪詛、何かの祟り――それを笑うことも出来ないほどに、その当時の私は一種の暗い気分にとざされていた。二人のあいだには怖ろしいような沈黙が暫くつづいた。
「先生はそれをどうお考えになっているのでしょう?」
理性一点張りの先生がそんなことを問題にしないのは判り切っていたが、それでもこの場合、わたしは念のために訊いてみると、奥さんは寂しくほほえんだ。
「良人は御存じの通りですから……。」
先生はゆうべ桐沢氏を訪問して、両者のあいだにどんな相談があったのか、わたしはそれを窺い知りたいと思ったが、それに就いては奥さんも詳しく知らないと言った。先生は元来が寡言の方で、ふだんでも家庭上必要の用件以外には、あまり多く奥さんやお嬢さんと談話をまじえない習慣であるので、今度の問題についても深く語らないであろうことは、わたしにも大抵想像された。
しかし、あれほどに亢奮していた透が、もし不服があるならば桐沢氏に言えという先生の一言のもとに、素直に屈服してしまったのを見ると、かれら兄妹にまつわる何かの秘密を、桐沢氏に知られているので、彼も桐沢氏に対しては頭が上がらない事情があるらしい。