Japanische Klassiker mit Furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Lesen Sie 鷲 (わし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.476 Zeichen · 290 Bildschirme
彼が大師の茶屋で広言を吐いた頼政の鵺退治も、こんな悲しい結果に終ったのである。お蝶の死骸はもちろんその両親のもとへ送られたが、身うちには何の疵の跡もないので、どうして死んだのか判らなかった。
そのなかでも特に不審を懐いているのは、かの久助であった。又次郎がどうして欅のかげに忍んでいたのか、又そのそばにお蝶がどうして笑っていたのか。二人のあいだにどういう関係があるのか。彼は江戸から引っ返して来て、その詮議のために角蔵の家をたずねると、彼はおいおいに快方にむかって、床の上でもう起き直っていた。かれら夫婦は自分の娘の死を悲しむよりも、若旦那の死を深く悼んでいた。
久助の詮議に対して、角蔵はこんな秘密をあかした。今から十六年前の秋、彼は甲州の親類をたずねて帰る途中、笹子峠の麓の小さい宿屋に泊ると、となりの部屋に三十前後の上品な尼僧がおなじく泊り合せていた。尼僧は旅すがたで、当歳かと思われる赤児を抱いていた。その話によると、かれが信州と甲州の境の山中を通りかかると、どこかで赤児の泣く声がきこえる。不思議に思って見まわすと、年古る樟の大樹に鷲の巣があって、その巣のなかに赤児が泣いているのであった。