Japanische Klassiker mit Furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Lesen Sie 鷲 (わし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.476 Zeichen · 290 Bildschirme
鰻をたべた人は又つづけて釣針をおろしていました。それから松島さんとふた言三言お話をして、わたくしどもはそのまま別れて自分の宿へ帰りましたが、生きた鰻を食べた人のことを私は誰にも話しませんでした。その頃のわたくしは年も若いし、かなりにお転婆のおしゃべりの方でしたが、そんなことを口へ出すのも何だか気味が悪いような気がしましたので、ついそれきりにしてしまったのでございます。
あくる朝ここを発つときに、ふたたび松島さんのところへ尋ねてゆきますと、松島さんの部屋には同じ少尉の負傷者が同宿していました。きのうは外出でもしていたのか、その一人のすがたは見えなかったのですが、きょうは二人とも顔を揃えていて、しかもその一人はきのうの夕方松島さんと一緒に川のなかで釣っていた人、すなわち生きた鰻を食べた人であったので、わたくしは又ぎょっとしました。しかしよく見ると、この人もたぶん一年志願兵でしょう。松島さんも人品の悪くない方ですが、これは更に上品な風采をそなえた人で、色の浅黒い、眼つきの優しい、いわゆる貴公子然たる人柄で、はきはきした物言いのうちに一種の柔か味を含んでいて……。