Japanische Klassiker mit Furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Lesen Sie 鷲 (わし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.476 Zeichen · 290 Bildschirme
午前中は近所を散歩しまして、午後は川に向った二階座敷に閉じこもって、水の音と蛙の声を聞きながら、新夫婦が仲よく話していました。そのうちにふと見ると、どこかの宿屋の印半纏を着た男が小さい叉手網を持って、川のなかの岩から岩へと渡りあるきながら、なにか魚をすくっているらしいのです。
「なにか魚を捕っています。」と、わたくしは川を指して言いました。「やっぱり山女でしょうか。」
「そうだろうね。」と、夫は笑いながら答えました。「ここらの川には鮎もいない、鮠もいない。山女と鰻ぐらいのものだ。」
鰻――それがわたくしの頭にピンと響くようにきこえました。
「うなぎは大きいのがいますか。」と、わたくしは何げなく訊きました。
「あんまり大きいのもいないようだね。」
「あなたも去年お釣りになって……。」
「むむ。二、三度釣ったことがあるよ。」
ここで黙っていればよかったのでした。鰻のことなぞは永久に黙っていればよかったのですが、年の若いおしゃべりの私は、ついうっかりと飛んだことを口走ってしまいました。
「あなたその鰻をどうなすって……。」
「小さな鰻だもの、仕様がない。そのまま川へ抛り込んでしまったのさ。