Japanische Klassiker mit Furigana
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まど
鷹野つぎ――人と文学
鷹野 つぎ
Lesen Sie 鷹野つぎ――人と文学 (まど) von 鷹野 つぎ (たかのつぎ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.840 Zeichen · 43 Bildschirme
主任さんは今日となっては、当然返事を聞く余地もないものとして、そう定めて早くも室を出て行った。
漸くにも、これで坂上とよ子に附添婦がつくこととなった。五十がらみの人の好さそうなおばさんが、夕刻から来て、もうこまめに働らきはじめていた。
斯うしていつしか新秋を迎える頃となった。テレスには篠懸の鼈甲色の美しい落葉が、時々カサと音して散りおちた。草藪にも涼しい虫の音が湧きはじめ、とよ子の窓からも見える、遠い空の星の光りも、夜々に美しくなっていた。
「おばさん、私が死んだら私の持物を全部おばさんにあげるわ」
ある夜私はとよ子のこの声をきいた。もうこの世の命数も二三日に迫っているという九月半ばの夜であった。
おばさんは僅かにひと月にみたぬ日数ではあったが、実の母かのように慕いよられたこのおとめの手をとって、泣きくずれた。