Japanische Klassiker mit Furigana
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むぎのめ
麦の芽
徳永 直
Lesen Sie 麦の芽 (むぎのめ) von 徳永 直 (とくながすなお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.532 Zeichen · 10 Bildschirme
「地主はスッカリ怒っていて、小作の田畑を全部とりあげると云うんだ。俺ァはァ、一生懸命詫びたがどうしてもきかねえ、それであの支配人の黒田さんに泣きついて、一緒に詫びて貰っただ」
傍で、オロオロしている嫁が云った。
「で、もとどおりになったかいな」
「ウウン、そうはいかねえ、謝りのしるしに榛の木畑をあのままそっくり取上げるちゅうこって、やっとおさめてきた」
「榛の木畑を?」
善ニョムさんは、びっくりして頭をあげた。
「仕様がないじゃないか、とっさん」
息子はおさえつけるようにそう云った。
「いやだ、俺らァいやだ」
善ニョムさんは、子供のように頭をふりながら、向うを向いてしまった。
「そんな駄々ッ子見てえなこと云うんじゃねえ、とっさん」
しかし、善ニョムさんは、頭を振って云いつづけた。――いやだ、いやだ、俺ァいやだ――。
善ニョムさんは、泣声になって喚めいた。いやだ、いやだ――青い麦の芽達が、頭を振りながら、善ニョムさんの眼前に現われて来た。
「いやだ、俺ァ……、あの麦に指一本でもさわってみろ、こんだァあの娘ッ子を、あいつが麦を踏みちぎったように、あの断髪頭をたたき潰してやる……」