Japanische Klassiker mit Furigana
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よみから
黄泉から
久生 十蘭
Lesen Sie 黄泉から (よみから) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.167 Zeichen · 21 Bildschirme
「わかるような気がしますね」
「あたしたちの仕事は、それは辛いんです。半年の間、毎日滝のように降りつづけていた雨がやんで雨季があけますと、急に温度があがるので、活字が膨脹してレバーであがってこないのに印字ガイドまで狂って、どうしたってミスばかり打つんですの……ちょうどバボ作戦の最中で、作戦関係の文書はみな暗号ばかりですから、五日がかりでしあげた大部なものでも、一字でもミスがあれば打ちなおしを命じられます。それはまるで命をけずられるようなひどい明暮れで、あたくしどもは宿舎へ帰ると、もうなにをする元気もなくてすぐ横になってしまうんですけれど、おけいさんは池凍帖を置いてお習字をしたり、お琴をひいたり、ひとりでたのしそうに遊んでいらっしゃいましたわ」
「琴って、十三絃のあの琴のことですか」
「ええ、そうなんですの。病室の衛生兵に秋田というひとがいて、これは京都の有名なお琴師さんだそうで、おけいさんの部屋に琴爪があるのをみつけて、そんなら琴をつくってあげようといって、あのへんのラワンやタンジェールなどという木で琴をつくってくれましたの。甲におもしろい木目のある本間の美しい琴でしたわ」