Japanische Klassiker mit Furigana
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きいろいばん
黄色い晩
小川 未明
Lesen Sie 黄色い晩 (きいろいばん) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.173 Zeichen · 13 Bildschirme
今周蔵のいる家は、全く変っていて前には、格子戸が閉っていた。中は薄暗く、鏡が光って、大きな太鼓と榊に白紙の結び付けられた生花と、御幣と、白い徳利とが目に入って、それに賽銭箱が直ぐ格子戸の際に置かれてあった。また賽銭箱の上にはだらりと赤、白、紫の交りの紐が垂下っていて、青錆の出た鈴が上に吊されていた。其等の紐は、多くの人々の手垢に汚れて下の方が黒くなっていたことを覚えている。その他堂の中には献納の絵額が五枚も六枚もかかっていた――毎月、三五の日には近隣の信者がこの狭い堂の中に集って、加持祈祷をしたので、その日には禿頭の行者は、時に応じ火渡りだの、刃渡りなどをして見せたこともあったという――僅かにそれが一年の後には、その行者は旅へ行ってしまって、その跡は全く変ってしまった。今迄あった桜の木や、樫の木は他へ移されてしまい、真直に往来に通っていた参詣人のための、道は耕されて圃となり、堂は造り代えられて、勝手許や便所まで附け加えられて、全くの普通の長屋となってしまい、その跡に入って来たのが、周蔵であった。
周蔵は独身者であるから、神様を祭ってあった跡に入っても、決して汚れはしないから、罰が当らないだろうと近所の人はいっていたが、入ると間もなく彼は病気にかかった。